周りに迷惑がかからないように私が見張らないとって、ただそれだけだったはずなのに。
そもそもコイツのことが面倒だと思っているのなら、放っておけばいいのに。
……でも、私思うんだよ。
「アンタは確かにヤバい奴だけど、今はただの普通の……皆から頼りにされる優等生の高校生なんだもん」
今日だって、司書さんのお手伝いしてたでしょ?
たとえ私との約束があったとしても、声をかけられたらちゃんと応えてあげるのを私は知ってる。
「昔のこととか、なんで私に付きまとうのかとか、分からないことだらけだけど……朔が今、平和に楽しく過ごせてるんならそれが続いて欲しいって思う」
誰かと放課後寄り道して、美味しいもの食べて、バカみたいに顔をキラキラさせててほしいよ。
ケーキを食べている時の朔は、ただの朔だった。
私は意外とアンタのそういう顔を見るのが嫌いじゃないよ。

