「いつもありがとう榛名くん。おかげで助かったわ」
「また何か困ったことがあれば言ってください」
放課後の図書室。
司書の先生と話す朔を遠目に、私は問題集のページを1枚めくった。
朔が勉強を教えてくれるっていうから、こうやって図書室で教科書を広げているんだけど……
『あっ、榛名くん!申し訳ないんだけど少しいい?』
図書室に着いてそうそう、朔が先生に声をかけられたせいでほぼ1人で勉強をしていることになってる。
私としては朔が普通の、なんなら普通よりも良い生徒として学校生活を送っていることに安心はしているんだけれども。
「(1問目からさっぱり分からないんだよなぁ)」
シャーペンをくるくる回しながらうーんと唸る。