榛名くんの大きな手のひらが私の目を覆う。
私は、言われた通りゆっくりと5秒数える。
その間に、男の人のうめき声や何かが潰れる音や、風を切る音が聞こえた。
「澪、」
名前を呼ばれて、ゆっくりと瞼を開く。
榛名くんの白いTシャツにはところどころ赤黒いシミが出来ていて、
威勢の良かった不良達は、皆苦しそうに地べたに転がっていた。
「あ……、」
「どこもケガしてない?」
「……」
これ、全部、榛名くんがやったの?
何者なの?
「アイツに触られたとこ見せて」
「は、榛名くん、」
「乱暴にされたよね?肩とか痛くない?」
「……榛名くん」
もう、いつもの榛名くんだった。
優等生の、榛名くん。

