その溺愛、危険度99%につき



榛名くんの大きな手のひらが私の目を覆う。

私は、言われた通りゆっくりと5秒数える。
その間に、男の人のうめき声や何かが潰れる音や、風を切る音が聞こえた。



「澪、」



名前を呼ばれて、ゆっくりと瞼を開く。

榛名くんの白いTシャツにはところどころ赤黒いシミが出来ていて、
威勢の良かった不良達は、皆苦しそうに地べたに転がっていた。



「あ……、」
「どこもケガしてない?」

「……」



これ、全部、榛名くんがやったの?
何者なの?



「アイツに触られたとこ見せて」
「は、榛名くん、」
「乱暴にされたよね?肩とか痛くない?」
「……榛名くん」



もう、いつもの榛名くんだった。
優等生の、榛名くん。