奈子のカーディガンの袖をまくる。
「ありがとう〜」って、にへらと笑う彼女に、仕方ないなぁと私も笑った。

ソース、つかないように気をつけてよね。
白いカーディガンだから、シミになったら大変だよ。



「でも、榛名くんって優等生だし……澪ちゃんが言うような凶暴な人には見えないけどなぁ」
「それはただあいつに騙されてるだけ。」



いつも爽やかに笑っているけれど、裏で何を考えているのかは分からない。



「うーん…… "あの"榛名くんに気に入られてるなんて、私は羨ましいけどなぁ」
「ちょっと奈子っ、目を覚まして……!」



甘いマスクの下に隠れているあいつの本性を知ったら、そんな呑気なこと言ってられないよ。