彼を送り出して、またお昼の彼女に会う日、お店の近くで待ち伏せした。

彼女達はやって来ていつもの店に入った。注文したのを確認して中に入る。

そっと近づいて声をかける。
「あら、あなた、こんなとこで会うなんて驚いたわ?そちらの方どなた?紹介してもらえる?」
彼はかなり驚いていたようで
「なんでおまえこんなところにいるんだ?
うちのことはどうしたんだ?」

わたしは彼女に話しかける。
「うちの主人がお世話になっております。
失礼ですがどちらの方でしょうか?」
「わたしご主人と同じ商会の部下でセリーヌと申します。ご主人にはいつもお世話になっております。」
「そうですか、商会の方。
いつもこちらでお食事なさってるんですか?
わたしこちらには初めて来まして、よろしければ相席させていただけますか?」
「ぜひどうぞ、わたしもお話ししたいと思っていました。」
彼は何言ってるんだ、早く帰れと言っていたが、4人席の彼の隣に座った。

注文すると早速彼女に聞いてみた。
「セリーヌさん、主人が結婚してるのはご存知でした?わたし結婚してから食事にも連れてきてもらえないんですよ」
何を言ってるんだと、横で言ってるけど聞こえないふり。

「いえ、彼からは何も聞いてませんでした。
あの誤解のないよう。
ご主人は部下のわたしを疲れてるだろうと、週に3回食事につれてきてくださってるだけど、なんの関係もありません。ご主人とは年もかなり離れてますし、わたしもいずれは結婚をと思っていますが、ご主人とは全く考えられません。」

となりで彼ががっくりと肩を落とすのが見えた。

「そうですか、ですが主人はそう思っていなかったようですね。あからさまにガッカリしてますもの。本人はデートとでも思ってたんじゃないですか?」

彼女はふふっと笑って
「デートですか、状況的にはそうですね。
不倫、てことですね。
でもわたしはこんな親と同じくらいの人と恋愛しようとは思いません。
ですから手も繋いでませんし、その先もごさいません。
ですから不倫になりませんね。」