クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜

『…寧々。なんか喋って?』


あ、そうだ。喋っていいんだ…!

私は図書館員さんに見つからないようにキョロキョロしてから、そっと声を出してみる。



「……あー。」



『フハッ。マイクテストかよ。』

「あ、な、なんか慣れなくて…っ。」

『…』

「…?逢和君…?」

『っ…、すげぇ。』

「へ」



今度は逢和君の方が感動してるみたいだ。



『…普通に話せてる』


逢和君が少しゴツゴツした男の子らしい手を、窓ガラスにあてて微笑む。


『嬉しい。』

「!」


逢和君が本当に嬉しそうな顔で言うので、また顔が熱くなって心臓の音がバクバクと大きくなる。


そしてまた、


『寧々、かわいい。声も、私服も。つか全部、かわいい。』


なんて、逢和君が甘ったるい声で甘々なことを言うので、

スマホを持つ手の汗がすごいことになってる。


「あ…逢和君、もう、もう、私もうダメかも…っ」


私はスマホと反対の手で熱くなりすぎた顔をパタパタと扇ぐ。


『ん?』

「も、なんか、ドキドキしちゃって…ダメかもっ!」

『…ハッ。』


逢和君が目を細めて意地悪く笑った。


『何言ってんの?こんなの序の、序ですけど』


「…!!」