クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜

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放課後。

今にも降り出しそうな空の下で、深く深呼吸してから、私は体育館の角を曲がった。

初めて目にする体育館裏は、雑草の手入れなんてまるでされてなくて、現実から切り離されたみたいに静かだ。

そして、突き当たりにある大きな木の下。

はかったように置かれた大きめの石に腰掛けて、こちらを見据える優しいタレ目。


「…よっ。」


生命力溢れる緑をバックにして

やたら絵になる逢和君が、可愛い笑顔で手をあげた。


「…」


相変わらずかっこよくて、かわいい。

それに緊張感のキの字も無い。

なんか調子狂っちゃうな…。


逢和君は力んだまま押し黙る私をしばらく眺めた後、

持ってたノートにささっと何かを書き込んで破り、慣れた手つきで紙飛行機を作る。

そして空に向かって振りかぶる逢和君の目に、光が入って煌めいた。







逢和君のこの仕草好きだなぁ





…って、

これ以上好きになっちゃいけないって考えたばっかりなのに…っ、

今のなし、なし…。



スー…と放物線を描いて私の元に飛び込んでくる紙飛行機を逃すまいと、私の中の運動神経を全集中してそれを掴む。

案の定、力みすぎて紙飛行機がグシャッと潰れた。

案の定、逢和君に笑われている。

私はそれを見なかったことにして、飛行機の中を覗いた。



【ひどい顔。いっぱい泣いた?】



「…!」

私は咄嗟に俯いて顔を隠す。