クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜

私は数学の教科書を出してから、先程引き出しの中に見つけたメモを机の下でそっと開く。


【放課後、体育館裏で】


…達筆の、キレイな字。


私はメモを閉じて、ちら、と対角線の一番遠くにいる逢和君の席を見る。

頬杖をつく逢和君の筋張った手が見える。

シャツ襟からスッと伸びる首筋が見える。

そして、

そこにびっしりと敷き詰められた赤い湿疹を思い出す。





…逢和君に

お別れを言わなくちゃ。





私は込み上げる気持ちをグッと堪えて、寺田先生の気怠い声に懸命に耳を傾けた。