クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜

…みんな、優しい。


私がジーンとして目を細めると、みんなが心配してオロオロし始める。


「ごめん、気に入らなかった!?ほら、やっぱり寧々はピンクがいいんだって!」

「えぇ!?寧々は意外と黄色が好きって言ったの花乃じゃん!キヤがコッペパンなんか出すからでしょ!」

「確かにコッペパンはないね。もっとあったんじゃない?」

「え!?俺!?寧々介、ごめんな…?」


あぁ…癒される。

みんなのてんやわんやに、すごく癒されてる。


「私、みんなと同じ班になれてよかったぁ…」


宿泊研修、大変なことばかりだったけど

みんなのおかげでちゃんと楽しかった。


「みんな大好き。ありがとぉ。」


私が泣きながら笑うと、それを隠すように花乃ちゃんがガバッと抱きついた。


「んむっ!?」

「見ないで!私の可愛い寧々を見ないで!!」

「んっ、モゴッ、」

「花乃。寧々ちゃん喋れなくなってるよ。」


カベ君がそう言って花乃ちゃんを嗜めた時、


「おーっす」


教室の後ろのドアの方から聞こえた力の抜けた声に、反射的に胸が高鳴った。