「寧々!?」
「「!」」
ドアの外に、逢和君の声。
戻ってきてくれた…!
気付いてくれた逢和君に、また涙がこみあげる。
「あー…もー、最悪。」
ドンドンと叩かれるドアのほうを見た木村君が舌打ちした。
その冷めた目と、こんな状況下にもかかわらずやけに落ち着いてるその姿には、いつものかわいかった木村君は見る影もない。
逢和君が懸命に鍵を開けようとする金属の音が聞こえる。
私は逃げないと、と思うのに、別人みたいな木村君に恐怖で身がすくんで動けない。
木村君の冷めた目がそんな私を見下ろして、ニタ、と笑った。
「ねぇ…キスしたことある?」
そう言って私の腕を引っ張った。
「!」
その時、ドアが大きな音を立てて開いた。



