クールなあおくんに近づきたい！〜あと10センチ、きみに届け〜

「逢和君帰ってきたら話しかけに行かない！？」

その視線の先の、女の子たちがはしゃいでる。


「うんうん！みんなでかっこよかったよって言いに行っちゃう！？」

「キャーッ」


近海君の話をして色めきだつ女の子たちの声を聞きながら、花乃ちゃんに視線を戻す。

「…近海君を好きじゃない女の子なんて花乃ちゃんぐらいじゃないかなぁ」

「私ケツの青いガキには興味ないのよねー」

「花乃ちゃん、口が悪いですよ！め！」

「おっと失礼ー」

渋めのおじさんがタイプらしい花乃ちゃんは、興味なさげに自分の髪をつまんで枝毛を探してる。



「…あ、チカ！」



後ろから聞こえた男の子の声に、

みんなの視線が一気に注がれた。


「おー」と軽く手をあげて返事をする、近海君。


さっき近海君を呼んだ木屋谷(ｷﾔﾀﾆ)くんが駆け寄る。

「大丈夫かよ！？どうなった！？」

「…」

近海君が暗い顔で俯いて、クラスが静まり返る。


「……退学。」