クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜

突然すぐそこで軽い悲鳴が聞こえた。

見ると、尻もちをつく見知らぬ男の子。


「何すんだよ、チカ!」


そう叫んだ男の子の視線の先で、真顔で男の子を見下ろす、

逢和君。



「…闇より選ばれし俺のライトハンドよ」



逢和君が、手をスッと持ち上げて低い声を出した。


ら、ライトハンド?


「この惨めな砂だらけチェリーボーイに鉄槌を食らわしたまえ…!!」

逢和君がヒーロー然としたポーズをとりながらアニメ声優みたいな声を出す。

「厨二病もビックリのダサさだな」

男の子が逢和君を白い目で見る。

「食らえ!俺の聖なるゴールドフィンガーに宿りし熱き…えーと、えーい!!」

「途中からめんどくさくなってんじゃねーよ!」

逢和君の執拗な蹴りに耐えかねた男の子が逃げ出して、それを逢和君が追いかける。

ライトハンド使わねぇじゃねーか!と突っ込む男の子に逢和君がうるせぇ!と言いながら追いかけっこする。



…逢和君、楽しそうだなぁ。