神様なんて、いない。





どうして今まで気づかなかったんだろう。







「ハァ……ハァ……」





だって

もし神様がいるなら






「あぁ…最高……最高だよ、寧々」







こんな生き地獄、作らない。







「(や…めて…)」







私のか細過ぎる声は、空気を震わせることも出来ない。

もう一度息を吸って、精一杯の声を絞り出す。







「やめ、て……木村君……、」







目を覚ましたら、私は視聴覚準備室の隅で

目を血走らせて笑う木村君に見下ろされていた。




それから変な薬を飲まされて、どれくらい経ったんだろう。





「ハァ……ハァ……なぁに?やめてって言った…?」





薬のせいで身体が動かない私はずっと

無駄に座り心地のいい座椅子に座らされ、

木村君に足を舐められていた。





身体は自分のものじゃないみたいに動かないのに

足の裏を這う木村君の舌のザラザラとした感触は妙に鮮明で

木村君の興奮した息遣いとピチャピチャと足を舐めまわす音が狭い空間に響いて

耳を塞ぎたくても塞げない




気持ち悪くて、

気持ち悪くて、

…気持ち悪い。




涙なんて、とっくに枯れ果てていた。




「ん…そうだよね、他のところも触ってほしいよね?フフ」


顔をあげた木村君が私の足から手を離し、座椅子を倒してスカートの中に手を忍ばせる。


「…!」

「やっと…ふー…やっとあの夜の続きができるね…」


耳元で囁く声に、恐怖で身体が震えた。