「木村って、転校した、あの木村?」

「うん…でっかい段ボールをカートにのせて運んでたらしくて…マネの見間違いだったらいいんだけど、なんか気味悪いなと思ってさ。寧々は?」

「俺図書室で最後会って、とっくに帰ったけど」

「そっか…ならよかった。」

カベの言葉に相田が心からホッとした顔をする。


「…」


俺は違和感を感じて、寧々から返ってきたシャーペンを触る。



「…カベ。」

「ん?」

「寧々と一緒にいる時、教室来た?」

「いや、来てない。帰りも図書室からまっすぐ校門まで送った」



寧々はカベと一緒に本を見てから決心したはずだから…

一度外に出てから、教室に戻ってきた…?




嫌な予感に内臓が冷えていく。




宿研の夜

暗い部屋で木村に唇を奪われて、呆然と涙を流す寧々がフラッシュバックした。



「…ッ」