クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜

「……ヒューイを、追いだしたかった。」


「追い出す…?」


「初めて苗村に会った時から、ヒューイの拒絶反応は相当だった」

あのとき、鈍器で頭を殴られたような激痛が走ったのを思い出す。

「寧々へのアレルギーほどじゃないけど…
近付けば近付くほどヒューイが俺の体を攻撃して『やめろ』って訴えてくるから、敢えて近付くことでヒューイを追い出せるんじゃないかって考えた。」

「ちょ、ちょっと待って。ヒューイを追い出すって、そんなことできるの?あんたとヒューイって一緒じゃないの?」

「んー、一緒だけど、一緒じゃない。たまに自分の中にヒューイの思考とか気持ちが流れ込んできて、自分がヒューイだって錯覚することもあるけど。」

俺は困惑して頭を抱える頼堂を無視して続ける。

「God's mischiefの中で、
『サラ以外の人となんて考えられない。そうなるようなことがあれば、僕は死んだほうがマシ』ってヒューイのセリフ、あったろ」

「…まさか…」

「その言葉通り、死んでもらおうと思って。」

「…」

「まぁ、苗村が寧々に危害を加えないか見張る目的もあったけど。」

開いた口が塞がらないらしい頼堂に、俺はハハ、と笑う。

「引いた?」

「引いた」

「あはは」

「あはは、じゃないわよ!
そんなことしてあんた自身も死んじゃったらどうすんのよ…!?
それに寧々の気持ち、なんだと思ってんの!?」


頼堂の声は微かに震えていて、俺に対する怒りを隠そうともしない。