「けんかしちゃったの?」

「え」

「おとことけんか?」

「おとことけんか?」

「…」


けんか…ではない…けど…

なんて説明したらいいんだろう…?


私が考えあぐねていると、女の子がギュッと私に抱きついた。


「!」


すると反対側の男の子もギュッと抱きつく。


「えっ、わ、ど、どうしたの…?」


「あのね、ケンカしちゃったときはね、ぎゅってしたら仲直りなんだよ!」


何の曇りもない目で言う女の子に、ハッとする。


「パパとママ、いつもそうしてるよー!」

「そーだよ!ぎゅってしたらね、ニコニコになっちゃうんだよー!」

「ニッコニコー!」

「ニッコニコー!」

2人は得意げに私を見上げる。






…二人のぬくもりが、浸透していく。


肌と肌の直接あたる心地いい感触。


トクン、トクンと揺れる心臓の音。




…あったかい。


きっと、幸せってこういうこと。






「……」






ニコニコだった2人が、心配そうな顔に変わる。




「おねえちゃん、だいじょうぶ…?」








こんな小さい子の前でだめだって思うのに




涙が、

止まらない。








「…フフッ、そうだね…っ。」








私は2人をぎゅ、と抱きしめ返す。