え?え?

今までの常識がこの短時間でどんどん覆されていって、目がぐるぐるまわり始める。



カベ君が距離を詰めてきて、思わず後退りした。



「でも、もう遠慮する理由がなくなった。」




カベ君は廊下の柱の影に私を追いやると、私の顔の横に手をついた。





「もうあんなクズ、忘れな。…寧々」





カベ君は私の頬に手を添えると、ゆっくりとそのキレイな顔を近づけて、

私の唇のすぐ横にキスをした。



「ッ、…!?」


「絶対俺のこと好きにさせるから。覚悟して。」



妖艶な目で私を見下ろすカベ君に

いつかのキヤ君の言葉を思い出した。





『あーあ。カベさんに捕まったらもう逃げらんないよ』





私はそのまま金縛りにあったみたいに、

しばらく動けなかった。