図書室を出ても、そのままのスピードでカベ君は突き進んでいく。

私は涙を拭いながら、肩を切って歩くカベ君の背中に声をかける。


「ぁ…、か、カベ君…?」


私の呼びかけに、カベ君が徐々にスピードを緩めて止まる。


そして振り返った。














「好きです」










カベ君がまっすぐ私を捉えて、はっきりと言った。





「…え?」


「あなたのことが、好きです」




もう考える力がなくなってしまった私はパニックになって、カベ君に繋がれてる手にどんどん汗が滲んでいく。




「え……えっと…、?か、カベ君が、わ、私を…?え…花乃ちゃんは…?」


「花乃はカモフラ。俺が好きなのは寧々ちゃん。チカに遠慮してたんだ。俺、こう見えて平和主義なんで。」


カベ君の淡々とした言葉達にさらに混乱していく。


「え、え?でも、花乃ちゃんは…、」

「あー、花乃も知ってる。結構早い段階でバレちゃったから。それに花乃は別にいるっぽいし。」