口いっぱいに食べ物を詰め込む私に花乃ちゃんが「もぐもぐ、もぐもぐ」と言ってくれるのに合わせて懸命に口をもぐもぐさせる。


そこでふと視線を感じた。


「?」



目を向けると、

購買のパンを片手に相変わらずたくさんのお友達に囲まれる、

近海君。




「…!?」




私はビックリして食べ物が喉に詰まりそうになる。

「もご!んぅ…!!」

「えっ!?寧々、大丈夫!?お茶!お茶!」

私は胸をどんどん叩いて花乃ちゃんからもらったお茶を飲み、なんとか食べ物を胃の中に落とし込んだ。

「ッはぁ、はぁ、…死ぬかと…、死ぬかと…!」

「なんでもないお弁当で喉詰まらせて死にかける女子高生なんて寧々ぐらいだよ…」

息を切らして目を血走らせる私に花乃ちゃんの冷ややかな視線が刺さる。


ハッと我に帰って振り向くと、

近海君が何やら俯いてる。





わ、

笑ってる。




…正確に言うと、

必死に笑いをこらえてる。

周りはそんな近海君を不思議な目で見るけど、それでも堪えきれないらしい近海君は肩を震わせて笑ってる。






もしかして

笑われ、た…?