「にしてもさ。これじゃ対処はできても根本の解決にはならないよね。近海、アレルギーに関する原因とか、心当たりないの?」

姫ちゃんに聞かれて、逢和君がハンバーガーを置いて腕を組んだ。


『んー……笑わないで聞いてほしいんだけど…。』

『だぁーはっはっは!!』

『キヤ』

『すいません。つい。』


逢和君がコホン、と気を取り直して話し始める。


『…ちっちゃい頃からよく見る夢があってさ』

「夢?」

『うん。お姫様が出てくる夢。
童話に出てくるような、赤髪で緑色の目をした白人の、きれいなお姫様と、お城。
現代じゃなくて、中世ヨーロッパみたいな世界で。
それで…夢の中では俺も白人の金髪で、いわゆる王子様ってやつで、
そのー…俺とその人は恋人みたいなんだよね』

「…随分と可愛らしい夢だこと」

…花乃ちゃん、やっぱり言葉にとげがあるな…

『はは。そう思うよな。
でもそれが結構リアルで…たまに現実と見境つかなくなるくらい。
それでそのお姫様、サラっていうんだけどさ。』


そこで逢和君がスマホ越しにこちらを見据える。


『初めて寧々を見た時…見た目全然違うのに「あ。サラだ。」…って、思った。』