…
ん?
逢和君が心底ゲンナリした目で自分の背中を流し見る。
『…キヤ。』
『自販のおしるこより甘い…』
逢和君の肩に手を置いて俯く耳の赤いキヤ君の、くぐもった声が電話越しに聞こえる。
「…いや、駅前のバナナシナモンロールより甘い。」
「!」
耳元で声がして、バッと振り返る。
「姫ちゃん!」
甘いものが苦手な姫ちゃんが、べぇ…とまずそうな顔で舌を出してる。
『うっせぇなー。なんでキヤと相田までいんの?』
逢和君はため息まじりに言う。
『大人数のほうが楽しいだろって副委員長が。』
キヤ君が逢和君の肩に腕をまわしてニコニコ笑った。
隣の姫ちゃんも、私に寄りかかって口角をあげる。
「水臭いじゃん寧々。宿研で宿戻るとき遅かったのは近海だったのね。」
「う…ごめんね姫ちゃん。」
「こんな面白いことになってたなんて。言ってよ。」
「ひ、姫ちゃん…」
堂々と面白がってるね。



