[短編]大好きな幼なじみに突然キスされて。

悪いやつじゃないけどかなり天然で軽薄そうな口ぶり。


デリカシーとは無縁の性格のクラスメイト。


ナオと同じバスケ部だ。


「ヒゲなんかはえないし」


ムスッとしながら答えた。


「なんだよー、おまえまだ生えてねーのか」


「……」


なにもこいつに限ったわけじゃなく、あたしは昔から周りの男子からあまり女子扱いをされない。


井上は悪気無くからかってくるタイプだ。


いつもならこんな風にウザ絡みされても、ピシャリと言い返すんだけど。


今日はなんだか気分が沈んじゃってて自分でも元気がでないなって思う。


はあっ、井上からも1ミリも女子扱いされてない。


やっぱ、どう考えてもナオがあたしを恋愛対象としてなんか見るわけないか。


「おーい、どうしたんだよ。内田、無視するなよなー」