世の女性は、恋人や好きな男性の誕生日をスマホやSNSのパスワードにするらしい。



世の理かはわからないけれど、私の周りの女性は皆そうだ。



だから何にも考えずに私もきみの誕生日をパスワードに登録したんだっけ。









* * *









「パスワード、おれの誕生日なんだ?」



「うん」



「そっかあ」





照れくさそうに笑うきみに、私はなんて返事をしたっけ。





自分の話したことはちっとも覚えていないけれど、きみがなんてそれに返事をくれたかは、嫌になるくらいはっきりと覚えている。











「なんか琴美の日常に入り込んだみたい」