SNSを開くまで気が付かないくらい、もうきみのことを忘れてしまっていた。



「そういえば誕生日だったな」



自分の中の感情はすっかり空っぽになってしまっているのに、当然のようにきみの誕生日を自分のあらゆる媒体のパスワードにしたまま放っておいているのが滑稽で自嘲せずにはいられない。



何にも情が無いのと同じくらい、きみという存在が日常に溶け込んでしまっていた。





「なに一人で笑ってるのさ」



「んー、元カレのこと思い出してた」



「あんたそんな女々しかったっけ」



「いや、偶然だよ」





これがきみを思い出してしまったすべての元凶。