あの日…


「ヒナぁーーー!!」

「つ…つばっ!!!!」

たじろぐヒナの頬に痛みが走る。
うしろによろめいたと思ったら首に翼の腕が絡んできた。

そのまま床へ倒れこむ。
頭が床に打ち付けられた瞬間、すべてが白く見えた。


…このまま何もみえなくなっちゃえばいいのに…


ヒナに乗る翼の息は酒臭かった。
泥酔して血走っている翼の目。

抵抗しようものなら、何をされるかわからない。
ヒナはおとなしく翼に従うしかなかった。


「ヒナ…ヒナ…ヒナ…」


息を細かく、荒げながら…かすれた声で叫ぶ翼。
その目には涙がとどめなく溢れていた。

おなかの上に翼の涙がぽたぽた落ちる。

それをローションのようにになんべんもひきのばしてヒナの肌にすりこむ翼…。


…怖かった…。