溺れる遺伝子

しかし、クラスのイジメはとどまるところをしらなかった。

イジメのネタというものは尽きるようで全然尽きない。

次の格好のターゲットがいないから、まだあの子がいじめられていたのだ。

この頃は他のクラスまで便乗している。


弱虫も群れをなせば爆発的な力が生まれる。

卑屈なヤツが考えるいじめの発案は背筋も凍りつくような方法ばかりだ。

そしてその恐怖の実験台として使われているあの子を見ると、何にも変えがたい快感になった。


学校側は動かない。

それは大方の学校がそうであるように、調べれば調べるほど学校側のミスが出るからである。


それにいいことに、あの子もあの子で誰にも言わなぁかった。


かつてのヒナがそうであったように、
彼女は誰に言っても何を訴えても無駄なことだとわかっていたのかもしれない。