ツバサが近い。

服越しに触れている。


今日の気温は31度。なのにツバサの温もりに不思議と熱苦しさを感じなかった。


「カラオケでも行く?」

「うん、行こう!」

「お!張り切ってるじゃん!」

「だって歌いたいんだもん!」

「じゃあーバンドとか組めば?」

「うん!…」


実際、ヒナにはバンドを組める友達などいなかった。


この見かけだと気の合いそうな子は恐れているのか近づかない。

だからといって不良混じりのような子には「案外まじめ」「つまらない」と嫌われてしまうのだった。