溺れる遺伝子

「ヒ……ナ…?」

二階の…ツバサの部屋の窓が開いたと思ったらすぐにバタバタと音がして、玄関が開いた。


ヒゲも髪もだらしなく伸び、肌が荒れてはいるが、
その人がツバサだということは、すぐにわかった。


「ツバサ…」

「ヒナ……どうして?」


ツバサはヒナを固く抱き寄せると、部屋へ静かに案内した。


ツバサの部屋はすさんでいた。
誇りが舞うくらい部屋に、パソコンの明かりだけがぼんやりとあたりを照らしている。

以前とは違い、あの鎖で縛られた女の人の写真は表にどうどうと出ていた。

そしてツバサはゆっくりとヒナをベッドの上に押し倒した。