溺れる遺伝子

駅につくと、転がるように改札を抜け、一目散にツバサの家まで走った。

駅から玄関までの距離が、こんなに短かったのかと思うと、不思議だった。


しかし、どうしても呼び鈴を押すことはできなかった。

返されるのが、怖かった。


ツバサに受け入れられなかったら、自分はどこに行っていいのかすら、わからない。



立ちすくむヒナの背で

桜が風にさわさわとなびいて花びらを散らした。