溺れる遺伝子

…そしてまもなく、
ヒナは更生施設に行くこととなった。

更生施設に入れば、もう外部と連絡はとれない。
帰省は半年に一回許されるだけ。

分単位の毎日の地獄のスケジュールの噂はヒナの耳にも入っていた。


「ツバサニアイタイ」

「ツバサニアイタイ」

「イチドダケ…」

「…アトイチドダケ」


更生施設に送られる前夜は、月明かりで街灯がなくても夜道を歩けるほど明るかった。

満月は恐ろしく美しくヒナを照らし
ヒナはまるでその月に惹かれるかのように


相談所を抜け出した。