溺れる遺伝子

福袋、お正月大セール。

クリスマス同様、街は季節を利用して今日も商売に励んでいる。


「初詣でも行こうか。」

黙るヒナの手を引いてツバサは歩き始めた。


「…あそこにいるのって、ヒナだよね?隣…誰?彼氏かな?」

神社でお賽銭をするために並んでいると遠くのほうでかつての小学校のクラスメイトがこっちをちらちら見ながら話している。


「うわ~…なんつーか…変わったね…」

「ヤンキーじゃん」

「ってかまだ続いてたんだ~。あ、違うヒトかな?」


ヒナの耳には会話は届いていなかったが、どことなくイヤな感じは伝わってきた。


そんな遠巻きのクラスメイトに気づいたツバサはまたヒナの手をひき、神社の列を離れた。