溺れる遺伝子

そのとき電話が鳴った。

…ツバサだ。


「ヒナ、あけましておめでとう!!」

「おめでとう!」

「…もう体…大丈夫か…?」

「うん…もう貧血もだいぶなおったし…」

「よかった。今日会える?」

「…うん。」

「じゃあまたあとでメールするから」


一方的に切られる電話。

そばですべて聞いていたすずは何かいいたげだったが、何もいわずにヒナの袖を掴んだ。


「ごめんね。今日…遊んでくるね。」

「…うん。…気をつけてね…」


…真剣に心配するすずの視線が痛かった。