溺れる遺伝子

「そろそろ行こっか。」

「うん!!」

外がぼんやりと青くなりはじめたころ、二人はそっと家を抜け出した。

ぼんやりと明るい外灯。誰も歩いていない静かな道。

普段見たことのない静まり返った自分たちの住む町。
なんだかとても綺麗だった。


町を少し離れると小高い丘がある。その頂上からだと初日の出も綺麗に見えることだろう。

幸い、天気はとてもよく、月が明るい。
いい初日の出が見れるかな…。


「寒いね…」

そういうとすずはヒナにぴったりと寄り添ってきた。


「!!」

一瞬驚いて身を震わせたが、すぐにすずの頭の上に手を乗せた。


「すずはいい子だね…」

「そんなこと…ないよ。」


オレンジ色に染まりだす空。
やがて、光があたり一面を照らし出した。


「綺麗だね…」

「うん。すっごい…」


太陽って…こんなに暖かいんだ。

横を見ると、すずの瞳から大粒の涙が瞬きのはずみに転がり落ちていた。