溺れる遺伝子

すずと竜吾が共同で使っている部屋をそっとのぞいてみると、二人とも熟睡しているようだった。


二段ベッドの下の段で寝ているすず。

寝顔はいつもに増しておだやかというか…見ていてなんだか安心するようだった。


……。

「…お姉ちゃん?」


枕元に包みを置いて、忍び足で部屋を出ようとするヒナにすずはすぐ気づいた。

「!!」

ヒナは急に声をかけられて驚いたが、きまりわるそうに振り返った。


「お姉ちゃん、こんな時間に何してるの?」


「あ~…初日の出を待ってて…」

「初日の出!?見に行くの!?一緒に見に行っていい!?」


「…うん。」

息だけのひそひそ声なのに、すずが興奮しているのがよくわかった。