溺れる遺伝子

「もしもし…」

「ヒナか!?………。」


何十秒にも思える沈黙。
ツバサはいったい今、何を考えているんだろう…。


「いま…お前んちの前にいる……」

「うん……。今、家に誰もいない…よ…」



「ごめんな…ヒナの顔見て…あやまりたいんだ…」

「……ん。」


カーテンをそっと開けてみると、ツバサが立っていた。

肩を落として、頭を垂れて……


それは、今までツバサが見せたことのない姿であった。