溺れる遺伝子

「ツバサ……」


やっぱり、一人じゃ絶対にだめな気がした。
子供にはやっぱり…父親が必要なんじゃないか…。


ヒナ自身、父親がいない環境で育っていたが、いつまでももういない父親の影にすがっていた母をいやというほどみせつけられていたこともあり、

…自分が母のようになってしまうんじゃないかという気がしてきてしまったのだった。



いや、だめだ。

…ツバサはだめだ。
産むなと言ってくるってことは、命の重さとか…そういうのがわかっていない。
そんな人には…まだ父親になれない…。


としたらやっぱり、この子は……


この子は………



お ろ す し か な い ん だ ろ う か…