…いろいろ考える。考えが巡る。


しかし自分の身に起きている現実をつきつけられる瞬間になった時、やっぱり悲しかった。


自分のおなかにいる赤ちゃんは父親がいないのだ。
しかも母親である自分はまだ10代前半だ。


「若いママ」

に、あこがれていた時期もあった。
だけど、若すぎる…というか…


全身鏡を見てみた。


セーラー服に短髪。泣いたあとの腫れぼったい顔。

…無表情。

童顔な方とはいわれているけれど、やっぱりこの見かけで母親になれるものなんて考えられない……



…でも赤ちゃんを…中絶するなんて…

…この手で殺すことなんてできない…



「翼…お父さんになってくれないのかな…」

乾きかけた頬にまた新しい涙がこぼれた。