蒼くんと一緒に行動することがなくなったわたしは、結果として、蒼くんの番犬と言われたりSPと言われたりしていた大神くんとも、会うことがなくなった。

 クラスも違うし、部活も違う。
 このまま、大神くんとも、接点がなくなってしまうのだろうか。

 わたしの目は、気がつけば廊下でも、窓から見えるグラウンドでも、大神くんの姿を、探している……。

 蒼くんの妹の美来ちゃんだけ、ときどき、図書室へ顔を見せる。
 ひそひそと近況を交換しあって、女子トークを楽しんだ。

 蒼くんが、みずから振られたと言ったために、振られてみじめな元カノとみられることもなく、わたしはひっそりと、静かで平和な毎日を過ごしている。

 蒼くんが集会で募集した、ステキな歌をささげてくれる男子も、あらわれないけれどね。