蒼くんは、ざわめくみんなを見下ろして、言葉を続けた。

「振られた理由は、ぼくが彼女に、大きな嘘をついたからです」

 嘘?
 嘘って、どんな嘘なの?
 さっぱりわかんない!

 はてなマークを頭に浮かべて、わたしがオロオロしているあいだに、すっきりした顔で蒼くんは言った。

「ぼくも彼女もフリーになりました。ここで男子諸君、我こそは、と思う男子は、ぜひ彼女にステキな歌をささげてください」 

 蒼くんの言葉で、たちまちわたしは周囲から注目の的だ。