そういえば、わたしは蒼くんの誕生日を知らないし、プレゼントもしていない。

「あ、蒼くんの誕生日って、いつ?」
「ぼく? ぼくの誕生日は5月。菜花ちゃん、来年お祝いしてくれたら嬉しいな」

 無邪気な笑みを、わたしに向ける。
 わたしは、あいまいな笑顔を浮かべた。
 顔がこわばっていないと、いいな。

 すぐに、わたしの家の前。

「送ってくれてありがとう」

 にっこり笑って、わたしは門の前で、蒼くんにお礼を言う。
 すると、いつも「また明日!」って言いながら、手を振る蒼くんなのに。
 今日は、なにか、じっと考える顔をする。