――大神くんの放送の声を聞くと、ドキドキする気持ちと、なんとなく落ち着いたゆったりした気持ちが入り混じる。
 蒼くんが歌ってくれたあの歌を、はじめて耳にしたときの、感情をわしづかみにされたときと似ている。

 この感じは、蒼くんと一緒にいるときのドキドキとは、ちょっと違う。
 蒼くんが、目の前で歌ってくれたときの印象と――違う。

 あの歌を自分で作ったのは、蒼くんだ。
 蒼くんが、わたしの目の前で歌っても、くれた。

 でも、なぜだろう。
 わたしは、大きな過ちを犯している気がする……。
 なにか、勘違いをしている気がする……。

 けれど、それを気づきたくないとも思っている……?

 図書室の先生が、閉める時間だと言ってくるまで、わたしはひとり、ぼんやりと考えごとをしていた。