少し寂しく思いながら、わたしは急ぎ足で歩く。
 そのとき、後ろから、パタパタと複数の足音がした。

 ビクッとして、わたしは振り返る。

 振り返ると、蒼くんを先頭に、美来ちゃんと大神くんも、わたしのあとを追いかけてきていた。

「菜花ちゃん、みんなで家まで送るよ!」
「え?」
「瑛太に、彼女をひとりで帰すのはおかしいって言われてさ。考えたらそうだよね。でも、ぼくが送っていくっていったら、今度は美来が、ついてくるって言っちゃって。だからみんなで送るよ!」

 そう言って、蒼くんはわたしの手をつかんで、ニコッと笑った。

 たちまちわたしは、鼻の奥がツンとする。
 ひとりだけ別に帰るのが寂しいって思ったこと、見抜かれた気がした。
 でも、みんなでもう少し一緒にいられるんだ。

 わたしは笑顔になって言った。

「うん。ありがとう!」