「ねえねえ菜花ちゃん。菜花ちゃんは放課後、貸し出し係だよね。ぼくもテニス部の練習がはじまっちゃうんだ。たぶん、会えるのも、ぼくが着替えて菜花ちゃんが図書室を閉めて、家に着くまでの時間になっちゃうんだ」
「うん。そうなっちゃうね」

 わたしの家まで、歩いて五分。
 ほとんど一緒にいる時間はないだろうな。

 なんて思ったら、蒼くんが、ニコッと笑って続けた。

「だから次の土曜日、デートをしようよ、菜花ちゃん」

 え?
 デート?

 デートって? デートですか?
 それって都市伝説級のアレですよね?