美波ちゃんの後ろ姿を見送りながら、わたしは改めて、聞いた内容を頭の中で整理する。
 そういうことがあったんだ。
 見えないところで、大神くんが動いてくれていたんだな。

 わたしは、ホッとすると同時に、賭け自体をないものにしてくれた大神くんに感謝した。
 さすが蒼くんの番犬。
 蒼くんのSPだよね。

 大神くんは、蒼くんの周囲でごたごたしたもめごとが目障りで、裏から手を打ってくれただけかもしれない。
 けれど、わたしも助かったのは事実だ。

 とりあえずわたしは、大神くんは三組だと聞いていたので、その場で三組に向かって手を合わせると、心の中でお礼を言った。

 面と向かって直接お礼をいうのは、ちょっと怖いかな。
 あの冷ややかな視線は、なかなか慣れそうにはないわ。