「もし勉強会が取り止めにならなければ、賭けの取り消しは意味がなかったと一花姉さまは考えて、改めて賭けを持ちかけてくるでしょうから」
「あ、蒼くんとの勉強会、やめさせていただきます!」

 ゆっくりと告げる美波ちゃんに向かって、慌ててわたしは約束していた。
 だって、試験の点数で競争だなんて、絶対したくないもの。

 美波ちゃんは、フッと笑みを浮かべる。

「理解が早くて助かりました」

 そして、わたしの返事に満足そうにうなずくと、美波ちゃんは頭をさげてから立ち去った。