唖然と聞いているわたしに、美波ちゃんは、頭を横に振りながら、ため息まじりに続ける。

「それを聞いた一花姉さまは、賭けの取り消しを決めました。取り消しの理由を言わないのは、一花姉さまのプライドです。でも、わたしはこの理由をあなたに伝えることで、取引をしたいです」
「取引?」
「はい。賭けがなくなったので、蒼さんとの勉強会をお断りしてください」

 そう言った美波ちゃんは、チカリとした光を瞳にたたえて、脅すように続けた。

「そのほうが、あなたのためでもあるかと思います」

 おとなしそうで、賢い美波ちゃん。
 年下だと思っていたら、威圧感は、姉以上に持っていた。
 わたしは、ゴクリと息をのむ。