写真は膨大な量で溢れていた。修学旅行から、何気ない日常の一コマ、部活動まで。みんながキラキラとした溌剌とした笑顔を浮かべる中、俺たち二人で写った写真が一枚だけあった。
思わず苦笑した。
「この、写真、俺が何回目かお前に告ったときじゃね?」
「47回目くらい?」
「絶対てきとうじゃん」
あまりにもぎこちない笑顔の俺と白石がいた。
同じ高校生なのに、距離感が合っていなくてちぐはぐでカップルには見えない。
先生とだったら。
彼女は先生とだったら自然に馴染んでいるように見えるのだろうか。
「俺、白石のこと好きだったよ。中学から多分、高校卒業ぐらいまで」
何回目かの告白をした。今まで一番自然なフラットな気持ちで。照れ臭さも何もなかった。彼女は照れていた。真っ赤にしていて、でも、驚いていたわけでもなく。
「知ってる。でもなんで卒業まで?」
「ずっと目の前にいたら、忘れたくとも忘れられないだろ」
目の縁がじんわり、滲んでいるのがわかった。初めて見る表情だった。
はじめてまともに会話している気がした。

