小学校の頃は、異性という存在を意識しずに過ごしてきた。どちらかと言うと、女の子よりも男の子の友達が多く、いつも男の子とふざけながら登下校していた。
中学に入学したら、環境は一変した。
名前で呼びあっていた男友達が、名前で呼ばれるのを嫌がり、そして、名前で呼ばれることはなくなった。
男友達が多かった私は、今さら女の子らしくなることも、女の子の輪に入り一緒に恋バナするのも苦手だ。

私はだれとも仲良くなれない。
これから私ひとりだと。
1人勝手におちこんでいた。

そんな中。たまたま隣の席だった翔平と話すようになり、また小学生だった頃のように私は明るくなれた。
翔平と話しすぎて、周りから沢山
「お前らラブラブじゃん」
「付き合っちゃえよ」
と言われたが、私はまだその頃は好きと自覚してなくて、
みんなになんて言われても、このまま友達でいたい。もっと翔平と話して笑いあっていたいと思っていた。
そんなある日、翔平がいきなり
「おれ、玲香に告白された。どうしよう」
と言ってきた。そこでやっと気づけた。

(え。もし玲香と付き合いだしたら、今みたいにバカみたいな会話も、ふざけあうこともできなくなる。そんなの嫌だ!!お願い断って!!

そんな本心とはうらはらに、
「えー!すごいじゃん!!モテるね!付き合えば」
と強がって言ってしまい。翔平も「わかった」
と…2人は付き合いだした。
その日の夜。素直になれなかった私自身が嫌でたくさん泣いた。泣いたけど、現実は変わることなく。翔平は玲香の彼氏になった。