【SR】幸せな結婚


「英太さんったら、子供を心配するみたいに……暖かくして寝ろよ、ですって」


床に落ちているスリップを身につけると、亜弥は寿生の背中にピタリと寄り添った。


「本当は……一度だけでいいって思ってたのに。

やっぱり欲って出ちゃうものなんですね。

好きな人に抱かれることが、こんなに幸せだと感じるなんて想像以上でした。


ねえ……先生。

これからも時々こうして欲しい――」


背後で囁く甘い誘惑に、寿生の脳内では再び葛藤が始まる。

自分の行動を後悔した反面、久々に堪能した女性の感触にきっぱりと拒みきれない弱さをも感じていた。




亜弥の幸せな結婚生活は、始まったばかりだ。



■ 幸せな結婚 / 完