しょぼーん……。
わかっていたけど、けっこうキツイな。
スマホをバッグにしまって、ため息をつく。
でも、まぁ、それも仕方がないかな。
だって、芸能人の王河に告白なんかしたあたしが、身の程知らずだったんだもん。
普通の高校生のあたしには分不相応な恋だとか、そんなのは言われなくてもわかってる。
わかっているけど……。
でもあたしが好きになったのは、芸能人の王河だからじゃなくて、幼なじみの、ただの普通の男の子だった王河なんだもん。
これからもずっと一緒にいたかったのに……。
もう、そばにもいられなくなっちゃったのかな。
歩き始めた夏帆たちの後ろを、とぼとぼ歩きながら考える。
さっき夏帆はあんな風に言ってくれたけど、昨日王河の言ってくれた“ありがとう”は、さっきあたしが小川くんに言ったみたいに、礼儀としてのお礼の“ありがとう”だったんだと思う。
それなのに、ほんの少し期待して、『王河も少しくらいはあたしのことが好き?』って聞いちゃったから……。
あたし、王河との幼なじみの関係も壊しちゃったのかもしれない。
だから王河は、『……ごめん乃愛。俺、ちょっと用事を思い出した』って帰っちゃったんだよね。
“ありがとう”以上、なにも言ってくれなかったのが王河の答えなのに。
それでちゃんとわからなくちゃいけなかったのに。
ほんと、バカなことを聞いちゃったよ。